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耳垢・耳掃除について



耳垢・耳掃除について

このページでは
耳垢(みみあか、じこう)、耳掃除、耳鼻科での耳垢除去、について解説しています。
耳垢はどこから出てくるの?、自宅で耳掃除したほうがいいの?しないほうがいいの?どんなときに耳鼻科に行ったらいい?
などの様々な疑問にお答えし、正しい対処法をご案内したいと思います。

耳の穴の中はどうなっている?

耳の中はこの絵のようになっています。外耳道はまっすぐではなく、すこし曲がっています。

外耳道の表面は皮膚で覆われていて手前1/3が軟骨部外耳道、奥が骨部外耳道と呼ばれます。骨部外耳道は皮膚が薄く傷つきやすいので、耳掃除を奥までやると容易に炎症が起こります(=外耳炎)

健康な外耳道は何もしなくても自然にきれいになる

外耳道には自分で自分をきれいにする力があります。健康な外耳道には鼓膜の表面から体の外へと、表皮細胞が1日1mmずつ移動する働きがあり、耳垢は、自然に外耳道の外へ出ていきます。そのため、健康な外耳道は清掃を必要としません。自分で耳掃除をすることは、外へ出ようとしている耳垢を奥へ押し込んだり、外耳道を傷をつけたりして、良くないことが多いのです。

外耳道の自浄作用がみえる動画

日本耳鼻咽喉科学会静岡県地方部会が出している外耳道の自浄作用を見ることができる動画です。(10分程度の動画です すこし長いので飽きやすいかたは2倍速でご覧いただくのがおすすめです)
鼓膜の中心部に色素をつけ、数ヶ月でどうなっていくか観察したところ、自然と外側へ排泄されていることが分かります。健康な耳には、自分で自分をきれいにする、古くなった細胞を外へ押し出す力があるということがわかりますね。

耳掃除は本当に必要なの?

日本人の70%は乾燥した耳垢(乾燥耳垢) 30%はねっとりした耳垢(粘性耳垢)をもっている といわれています。
これは、遺伝で決まっています。
乾燥した耳垢で健康な外耳道をお持ちの方は、耳掃除をしなくても自然に外に出てきます。

粘性耳垢

ただし、以下の方は耳垢が溜まったり詰まったりしやすい場合があるので、少し注意が必要です。
  • 粘性耳垢の方
  • 外耳道がせまい方
  • お子様(代謝が早い、外耳道がせまい)
  • 高齢者(自浄作用が低下している)
  • アトピー性皮膚炎で耳の中までかゆい方
  • 補聴器や耳栓を日常的に使用されている方
  • 水泳やサーフィンなどで耳に水が入る方

耳掃除の頻度はどれくらいが適切か?

米国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会や海外の論文や発表では、健康な外耳道の状態であればほとんどの方は耳掃除は不要とされています。気になる場合は専門医を受診することが推奨されています。
そうはいっても、全員自然に出るのだから耳掃除はやらなくてよい、耳鼻科にもいかなくてよい、ということは言えません。耳の特徴は人それぞれですので、耳の不調を感じた場合や、耳垢が気になる、耳の中でごそごそいう、耳のかゆみがひどい、水泳の時にいつも耳が詰まるなど、何らかの症状がある場合は耳鼻咽喉科を受診してください。

耳鼻科に行く目安は?

基本的には気になったら来てください。耳垢がたまっているのではなく、別の病気が隠れている場合もあります。見えないところですので見せていただいた方が良いと思います。まずはしっかりと診察をさせていただいて、耳垢除去の処置が必要な場合は、顕微鏡下でよく観察しながら丁寧に耳垢除去の処置を行います。

耳鼻咽喉科の耳垢除去Q&A

Q:耳掃除だけで耳鼻科を受診してよいのですか?

A:もちろん大丈夫です。耳以外の症状で受診したけど、耳も気になるのでついでにみてほしいというリクエストもOKです。

Q:耳掃除で受診した場合の費用はどのくらいですか?

A:初診で両側の耳垢除去を行った場合、3割負担の方で1400円程度です(処方なしの場合)。保険診療ですので、18歳未満で乳幼児受給者証をお持ちの方は無料となります。

Q:耳掃除の通院頻度はどのくらいが適切ですか?

A:溜まりやすい方は2週間~1か月程度がよい方もいますし、溜まりにくい方は1年に1度で大丈夫という方や、耳垢除去が全く必要ないという方もいます。個人差がありますので、よく診察させていただいたうえで、適切な通院時期をアドバイスさせていただきます。

まとめ

  • 健康な外耳道は自浄作用があり、垢は自然に外に排泄されます。外耳道の深部を掃除する必要はありません。不適切な耳掃除は耳垢を奥に押し込んだり、外耳道を傷つける可能性があります。
  • 耳垢には乾燥したタイプと粘性のタイプがあり、日本人の約70%が乾燥型であり、約30%が粘性型です。乾燥型の耳垢は自然に排出されることが多いため、自宅で掃除する必要はありません。
  • 粘性耳垢の人、外耳道が狭い人、お子さん、高齢者、アトピー性皮膚炎の人、補聴器を使用している人、耳栓を使用している人、水泳をする人などは耳垢が溜まりやすい傾向があります。
  • 気になる場合は見せていただくのが一番です。遠慮なく受診してください。